熱中症の予防について(2018年6月1日)
そろそろ暑くなってきました。じめじめと梅雨の時期に差し掛かり、夏に向かっていきます。今日はこの時期から注意したい「熱中症」についてお話したいと思います。
熱中症と脱水症
熱中症で病院に運ばれる人の半数以上は高齢者だそうです。熱中症になる原因は色々ありますが、脱水症を予防すれば熱中症も予防できると言われているぐらい、両者には密接な関係があります。高齢者はもともと、体内の水分量が少ないんですね。生まれてすぐの赤ちゃんは80%ぐらい、成人男性は60%、65歳以上の高齢者になってくると、およそ50%~55%ぐらいだと言われていて、成人男性と比較して10%も少ないということになります。
機能の低下
高齢者は、様々な機能が低下してきますが、その中の「感覚」も衰えてきます。例えば、「喉が渇いた」という感覚とか、「暑い」という感覚が衰えてきます。よく高齢者宅に行きますと、私たちが「暑いですね~」って伝えても、「そぉ~?」という返事が返ってきたり、「喉乾きませんか?ちょっと水分摂りませんか?」って聞いても、「別に喉乾いてないから」と断られることがあるのは、高齢者本人が自覚していないということです。身体の中では脱水が起こってても、気が付かない、ということになります。
また、高齢者は「汗」をかきにくくなります。私たちは暑いと汗をかいて乾くときに気化熱になって体温を下げたりします。「汗」は体温を調整する機能になりますが、高齢者はそういう機能も徐々に衰えているので、そういうことも合わさって、熱中症になりやすい、ということになります。
熱中症予防について
では、どういう対策をしていけばいいのか? 家の中の対策についてお話いたします。1つ目は、「目で見てもらう」ってことが一番大事です。温度計を置く、湿度計を置く。そしてそれを見てもらう。「普通はこれぐらいの温度ですよ」と、視覚で「こうだから」と伝えて気づいていただくようにします。
2つ目は、「こまめに水分を摂ってもらう」。一度に沢山水分を摂りますと、高齢者は腎機能などの排せつ機能も衰えていますので、身体に負担がかかります。できたら少ない量で、100ccとか200ccぐらいを小まめにに飲んでいただくようにします。
特にお風呂の前後とか、寝る前や朝起きた時に脱水症状になりやすいので、そういう時に水分を摂ってもらうのが大事です。できましたら、身体が熱くなってる時は冷たい水分が良いかと思うんですが、そうでなければ常温の水分が良いそうです。
また、カフェインが入ってますと利尿作用が働いて水分が身体からどんどん出てしまいますので、できましたら「麦茶」とかカフェインが入ってないものを摂るようにしてください。
もし汗をしっかりかいているときは、スポーツドリンクとか、梅干しを入れるとか、塩をお茶にちょっと入れて飲んでもらうとか、でも良いと思います。
その他の対策としては、お風呂の温度は40度以下にしてもらったり、エアコンを嫌がる人にはエアコンの設定温度を少し高めに設定して、扇風機を併用したり除湿すると、温度が下がりますので除湿機を使いながら風通しをよくすることで、涼しい風を入れるという風に、努力をしてもらったらいいかな、と思います。
汗をかく訓練も
人間は汗をかくことも訓練でできるそうなので、暑さにも慣れてもらうことも必要で、一日一回ぐらい夕方にでも散歩をしてもらうとか、それが難しければ、家の中でストレッチなどしてもらって、軽く汗をかいてもらって汗に慣れてもらうことで、徐々に熱中症になりにくい身体になっていきます。声掛けを
これからの季節、脱水症や熱中症になりやすい季節になってきます。こういう季節は、「声をかける」というのが必要かと思います。独り暮らしの方には特に注意をして声を掛けていただけるように、お伝えいただけたらいいかな、と思います。よろしくお願いいたします。神窪ケアマネージャーによる、季節にまつわる「よもやま話」
2018年6月1日号